第4回イタリア研修旅行〜シチリア編〜 3.陶器の街 Caltagirone を訪ねて

2011年07月23日

3 陶器の街 Caltagirone を訪ねて

 4日めの朝は少し早く8時にはにパレルモを出発し、陶製のタイル(陶板)で飾られた階段で有名なカルタジローネへと向かいます。
 カルタジローネは、陶器に興味がある方なら誰しも一度は訪れたいと思う街ですが、なかなか個人で訪れるのは難しい場所にあります。シチリアはイタリアの南端に位置し、そこまで行くにも時間がかかるうえに、さらにそこからのアクセスが容易ではありません。飛行場でパレルモに入ったら、そこから車で2時間、カターニャからも1時間30分かかります。列車でタオルミーナまで入ったとしても、そこからやはり2時間はかかります。列車がないので、交通手段は長距離バスかレンタカーのどちらか、なかなかハードルが高い訪問地です。
 それ故に今回のカルタジローネの訪問は皆さんとても楽しみにしていらっしゃいました。前回のシチリア旅行では行けなくて悔しい思いをしたという方、ツアーで寄ったけど時間がなくて階段をゆっくり見れなかったという方・・・リベンジの訪問です。

 

カルタジーローネ
 カルタジーローネに到着した時は、少し雨が降っていました。ちょっと残念な気持ちになりましたが、それでも階段までの道のりを歩きながら既に皆さん歓声をあげながらシャッターをきっていました。「あ、タイル、すごい!」「これもタイル、あ、あっちもだよ」と、お店の看板や橋の装飾など街のあちこちに見られるタイルの装飾にテンションがあがってきます。

 

彩色陶板の階段10分程歩いて市庁舎広場について階段を見上げるといっせいに「うゎ〜」と声があがりました。142段、全ての段が様々なデザインのタイルで装飾されてい ます。私はカルタジローネを訪れるのは今回で3回目になりますが、階段を見上げていると、「え、今日、綺麗!?」「色が鮮やかに見える!?」 なんだか今 までとはちょっと違うように感じました。そして、その違いは階段のタイルを撮ろうとカメラを覗き込んだ時に確信しました。雨に洗われて普段埃っぽい階段が 綺麗になっているのです。タイルの表面が洗いたてのようにピカピカしていて色が鮮やかに見えます。

 

 
 カルタジローネを訪問した方がブログなど書かれている中で、思ったより色が綺麗でなかったとか、色褪せて見えたなどとの感想を目にしますが、それが私も今まで見た埃っぽい階段のことだと思います。乾燥した土地柄でもあり、人が上り下りする階段でもあるのでいつもざらざら埃っぽいのですが、この日は違いました。

 

彩色陶板の階段
 そんなことを考えているうちに雨も上がり、少し陽がさ射した階段はさらにピカピカに! カルタジローネの階段を見るなら雨上がりが一番かもしれない・・・既に沢山の写真を持っている私ですが、階段を上がりながら夢中で写真を撮っていきました。

 

彩色陶板の階段
 これが一番上の段の中央にあるタイルです。これを撮ると142段上りきったという証になります。階段の上に立って街を眺めると、綺麗なバロックの街並みが見え、その向こうの空に陽に反射した雲がゆっくりと流れていましいた。「また来れたんだ・・・」といろいろな思いがこみ上げてきて胸が熱くなりました。
 私の知人のイタリア人は、北の出身なのであまり南イタリアには興味がなく、ずっとこの階段のことを知らないでいました。2〜3年前に初めてここを訪れたのですが、階段を見上げて感動し、階段を上りきった時は涙ぐんでいました。「イタリアは北も南も全てが素晴らしい!!」と。

 

 

陶器のショップ陶器のショップ

 

 階段の両脇には陶器のショップが並んでいます。中には店内で絵付けをしているところもありました。そして、ここでお買い物タイムです。荷物が重くなると知りつつ、カルタジローネまで来たのですから、やはり買わなくては・・・と皆さん、やはりお買い物にブレーキは効かないようです。

 

 

タイルの装飾テーブル

  
 市庁舎広場の横には公共のインフォメーションセンターがあり、そこの中にも見事なタイルの装飾があります。小さなカフェもあり、そのテーブルもカルタジローネの陶製のものです。

 

州立陶器博物館
 陶器の街カルタジローネ、しめは州立陶器博物館の訪問です。素晴らしいコレクションを揃えていますが、ここを訪れる観光客はそう多くないそうです。私たちが訪問した際もほとんど貸し切り状態でした。フラッシュを使用しなければ撮影は可能なので、図案の資料にと、皆さんここでも沢山写真を撮っていました。

 

 ヨーロッパの近代陶器の歴史は、7世紀初めスペインのイベリア半島に侵入したイスラム教徒(ムーア人)によって持ち込まれたものから始まったと言われ、後にそのマジョリカ焼きの技術がイタリアに渡り、トスカーナを中心に全土に広まったと言われています。しかし、一方ではシチリアが9世紀には既にマジョリカ焼きを作り始め、それがイタリア各地へ広がったという説もあります。
 当時はイタリアはまだ一国として統一されていませんので(イタリア王国としての統一が1861年、イタリア共和国が誕生したのは1946年)、複雑な歴史と共に陶器の歴史も複雑な歩みを持っています。
 が、いずれにしてもイタリア陶器、ヨーロッパの陶器を知るうえでここカルタジローネの陶器はとても重要な役割にあると言えると思います。
 今回の研修旅行をシチリアだけに絞ったのは、シチリア陶器、カルタジローネの陶器にじっくり触れていただきたいという思いからでした。

 

Caltagirone

 カターニャ南西約70km、標高608mにあり、3つの丘の斜面を覆い尽くすように街が建てられている山上都市です。カルタジローネの名前の由来は、アラブの支配下にあった9世紀頃に Qual’at-ghiran (洞窟の城)と呼ばれたことに由来すると言われています。
 2002年に世界遺産ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町として認定された8つのうちの1つになります。
 新石器時代から青銅器時代にかけての遺跡も多く発掘されていて、古くから陶器作りが行われていました。9世紀のアラブ時代にはマジョリカ焼きの技術が導入され、それがイタリア各地へ伝わったとも言われています。その後今日までイタリアの陶器の産地として重要な役割を担い続けています。

 

La Scala/彩色陶板の階段

 上のサンタ・マリア・デル・モンテ教会と下の市庁舎広場を結ぶ142段の階段です。1608年に建築家ジュセッペ・ジャカローネの設計により造られ、1844年に整備され今の142段になりました。その後、1954年に彩色陶板(陶製のタイル)による装飾がなされました。

 

州立陶器博物館

 1965年に開館したカルタジーローネの陶器博物館は、1908年に開館したファエンツァの博物館に次いでイタリアで2番目の規模を誇っています。シチリアを中心とした先史時代から19世紀までの陶器を蒐集しています。
 カルタジローネ窯が最盛期だった16〜17世紀のコレクションは見事です。

 

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